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間の楔 -図書館導入要注意図書-
『間の楔』、という小説を、ここに来られる方はどれぐらいの確立で知っているのだろうか。
仮にも腐女子の名に値する方ならば、読んだことはなくてもタイトルぐらいは聞き覚えがあるではなかろうか。
もしかするといるかもしれない内容をご存じない方にかいつまんで説明すると、小説ジュネに連載されていた吉原理恵子さんの作品である。今はどうか知らないが、私が知っているのは挿絵を道原かつみさんが描いていたハードカバーのものだ。
人工エリート階層種のイアソン・ミンクがスラムの雑種リキと出会い、惹かれ、壊れていくもとい堕ちていくさまを描いたもので、これがホモでなければさぞや世間一般にも高い評価を受けたかもしれないという作品である。
魅力的なキャラと印象的な名(迷)セリフも多く、クライマックスは涙腺の硬い管理人も泣いた。マジで。
かなり早くにカセットブックも発売され、後にOVAにもなりサントラも出た。
特に、攻のイアソンを今は亡き塩沢兼人さんが、リキを関俊彦さんが演じられ、声優さんの魅力にも改めて気づかされる、そんな作品だった。
ここで、抑えて置いていただきたいのは、我々がリア高のころ、間の楔は発行から2年たつか経たないか、の頃だったということである。
以前にも紹介したと思うが、我々が根城としていた図書館にはリクエスト制度があり、生徒が希望する図書を予算範囲内で購入をしてくれていた。
さすがに内容はチェックしていたはずだが、菊池秀行さんの魔界都市シリーズが『魔王伝』から始まる全てをスルーしたところをみると、グラビア以外はノーチェックだったのかも知れない。
そんなリクエスト制度を活用していた管理人はある日、おにーさんズに『図書館の主』の後継者として、注意点を言い渡された。
「あのな、お嬢ちゃんも同人知ってるくらいだから、JUNEって知ってるよな?」
「もちろんでーす」
「なら、話は早い。でな、この学校の図書館はリクエスト制度があるが、
絶対にリクエストしてはいけない、させてはいけない本がある。
それが『間の楔』だ」
「・・・ナ、ナニユエに?」
「本の内容は知ってるよな。そもそも、それは俺たちの2学年上の話だ」
と、スポック兄ちゃんは語った。
その折の卒業式。つまり、我々が入学する1年ほど前の話だ。
どうも、そのときの卒業生総代は女生徒で、かなり読書家として知られていたらしい。
(『主』ではなかったらしいので、おそらく日野氏直系の漫研ゆかりの方と推察する)
そして、こともあろうに、高校生活を締めくくる答辞でこんなことをカマしたらしい。
(うろ覚えだが)
「私の好きな言葉に『間の楔』という言葉があります。間を分かつ楔ではなく、より強固に結び付けようとする楔です。
今、卒業しようといる私たちにとって、この学び舎は私たちと未来を結ぶ間の楔として、・・・・以下略」
知ってる人間大爆笑(但し心の裡で)。
とどめに「いい言葉だが、どこからとってきたのか?」と問われ、最近読んだ本にあったのだと答え、先生方にとてもほめられたらしい。
そんな先輩のやっちまったぜ行動をフォローし、先生方のドリームをぶち壊さないために。
「『間の楔』は絶対にこの図書館内にいれてはならない。最低でもほとぼりが冷めるまで!」
この勅命、私が卒業するまでは司書補助教諭の先生の助けもあり、役目は果たしたのだが、なにぶん私の後に継がせるべき『主』はいなかったので、どうなったのかは知らない。
ていうか、とっくにほとぼりはさめてるだろうし。
・・・・ということで、うっかり見てるかもしれない現役高生、情報求む。