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『ベルナルデリ保険協会 定期報告書』


カタカタカタカタ
「せんぱーい、報告書終わりましたぁ?」
「もうじきですわ、ミリィ。今回の報告書は分厚くなりますわよ〜」
カタカタカタカタ
「初めて、本物さんの事件の報告書ですもんねー。それにしてもスゴイですよね。街、半壊してますしー」
「でも、無事に『本物の』ヴァッシュ・ザ・スタンピードに追いつきましたもの。お仕事はこれからですわよ、ミリィ」
「はいっ、先輩v」


「せんぱーい、打ち込み、代わりましょうか?」
「大丈夫ですわっ。たかが1日や2日の徹夜でひるむメリル・ストライフではありませんことよ!」
 ぱきぱきぱきっ
「でも、すごい肩鳴ってますよー」
「終わったら社費でマッサージですわ。これを経費といわずしてなんなんでしょう!」
「ですね。……すごーいっv すでに報告書の厚さ、2センチ超えてますよぉ」
「ふっふっふっ……まだまだ増えましてよ」
「被害総額……ほとんど街1つですもんねー。死人が出なくてなによりでしたねぇ」
「あ、ミリィ! この街の資産総額の計算は済みまして?」
「はい、これですぅ」
 ぱらり。
「……なかなかスゴイ金額ですわね……」
「なんかもう、リスク回避って言ってられるレベルじゃありませんよねー、あはは」
「笑い事じゃありませんわ、作成というよりも打ち込みで徹夜なんて初めての経験ですもの……ところでミリィ、お願いがあるのですけれど」
 カタカタカタカタカタカタカタカタ
「なんでしょうー?」
「紙とインクのカートリッジの追加を買ってきていただけませんこと?」
「はーい、行ってきますねー」
「ちゃんと領収書を切っていただくんですのよぉっ」


カタカタ……カタ?
「はぁ……どうしましょう」
「ここんとこ、なぁんにも起きてませんよねー」
「平和ということで、結構なんですけれど、報告しようにもすることがないって言うのも結構キツイですわねぇ」
「定期報告って、出さなかったらサボリになっちゃうんでしょうかぁ?」
「当然ですわ。私が課長でなくたってそう判断しますもの」
「最低枚数、10枚ですよね〜」
「事件が起こった場合についての報告書はともかく、定期報告に枚数制限なんて設ける必要ないと思いますのに」
カタ……カタタ!
「……! とりあえず、枚数クリアしましたわ!」
「さっすが、せんぱーいv この10枚目の1行オーバーって言う姑息な技が冴えてますねっ」
「次回からは、フォントと行間隔を大きめに設定してみますわ。せっかく仕上がったことですし……ミリィ?」
「はいv お茶ですねvv せんぱーい、ここガトーミルフィーユとセイロン茶のセットあるんでしょうかぁ?」
「聞いて見なければわかりませんわよv ヴァッシュさんもいらっしゃったら声を掛けてみましょうね」
「はぁーいっvv」


カタカタカタカタカタカタ
「今日はノリがいいですねー、先輩v?」
「牧師さんがいらっしゃって変化がありましたものv 書くことが増えてきましたわv」
「そーいえば、ヴァッシュさんっていつもサーモンサンドですけどぉ、よく栄養失調とかになりませんよねぇ」
「そういえばそうですわね。好物といっても限度がありますのに……。そうですわ、報告書の中に付け加えておきましょうv」
カタカタカタカタ
「そうですよ。ヴァッシュさんのレポートですから、別におかしくありませんよぉv」
「……vv 今日はらくらく10枚突破ですわっv」
「やりましたね! v」
「さあ、ミリィ。今日は早く休みますわよ。夜更かしは美容の大敵ですわv」

カタ……カ?
「…マズい……詰まりましたわ……」
「せんぱーい、今日もヴァッシュさん、町の子供たちに関節技、掛けられてましたよぉ」
「それは前回書きましたわ……」
「えっとぉ、ずーっと前にぃヴァッシュさんの体に傷がいっぱいついてるの見ちゃったことは……?」
「それは前々々回くらいでしたかしら……。やっぱり内容が重なるのはマズイですわ……はぁ。この前、課長には字が大きすぎて読みにくいとお小言頂いちゃいましたし……」
「やっぱり、フォント14ってのは大きすぎたみたいですねー」
 はぁ………………(重い溜息)
「っ! そうですよ、先輩!」
「どーしましたの? 何かいい案が浮かびまして?」
「牧師さんですよぉ!」
「?? よくわかりませんわ?」
「ヴァッシュさん、最近牧師さんといつも連れ立ってますから、牧師さんのことも書けばいいんですよぅv」
「! ナイスアイデアですわ、ミリィ!」
カタカタカタカタカタ
「ガンバです、先輩っ! 進み具合にターボ掛かってます!」
「そりゃあもう。あんな不条理な聖職者さん、鬼のようにネタがありますもの」
「よかったですねー、先輩v」
「ミリィのおかげですわ〜」


「先輩、先輩っ!」
だかだかだかっ 
「……どうしましたの? まだ朝の4時ですわよ?」
「それどころじゃないんですよぅ! 昨日、ヴァッシュさんのお部屋でみんなでお酒頂いたじゃないですかぁ」
「ミリィ……私、それで少し二日酔い気味ですのよ……」
「すっ、済みません……でもぉ、さっき朝のお散歩に出ようとしたら、牧師さんがヴァッシュさんのお部屋から出てきたんですよぅ」
「殿方同士ですし、問題ないんじゃありませんこと?」
「そ・れ・が」
 にまり
「牧師さん、ヴァッシュさんに枕投げつけられて追い出されてたんですよ♪ しかも上半身ハダカでv」
「……ポイント高いですわね、特に後半が」
 めらめらめらめらめらめら
「あ、やっぱり先輩もそう思いますぅ? ……なんか、炎燃えてます、せんぱいっ!」
「ふっふっふっ……でも、思い違いということもありますわ。しばらくは様子を見た方が良いかもしれませんわね」
「そーですかぁ?……でも、わたし見たの、これで3回目なんですけどぉ……」
「……それは疑いの余地がありませんわね(にやり)v って、ミリィ、あなたどうしてそんなに見かけるんですの?」
「お仕事ですから!」
「……ミリィ、嘘はいけませんわよ」
「実はぁ、事務の子達に頼まれて、カメラ番してたんですぅ。ビジュアルが欲しいって言われてぇv」
「ビジュアルって……でも確かに見たいかもしれませんわね」
「大丈夫です! 私とぉ先輩の分は焼き増ししときますからv で、せんぱーい。報告書なんですけどぉ」
「もちろん、記載するに決まってますわv 
 これで、婉曲的表現に苦心する必要もなくなったってことですわね!」
「この前から、ファイリングする事務の子にはすっごいウケてるらしーですよぉ」
「課長からも、この調子で頑張れとお褒めの言葉を頂きましたわv さぁ、ミリィ! 今日もしっかりお仕事しますわよ」
「はい、先輩っ!」


「……なぁ、トンガリぃ」
「なに、ウルフウッド?」
「なんや、最近保険屋の姉ちゃんたち、ごっつ気合入ってへんか?」
「そーかなー。いつもあんな感じじゃないの?」
「そうかぁ? あっちこっちで視線感じるんやけどなぁ」
「へぇ〜」
「特にこーやっとるときはな〜」
「いきなり、のしかかるなよっ! 重い〜っ!」
「ええやん、愛があるんやからv」
「ってきみ! それができれば後はどーだっていいんだろっ!」
「……この口は黙っときv」


 そして、壁の向こうでダンボになる2対の耳と小さな節穴から覗く2対の目が……。

 じーっっ
  じーっっ
   じーっっ

「……先輩? これで今回の報告書はおっけーですねっv」
「もちろんですわv」



真人:一応牧天かな? しかも覗きかい(笑)……くだらない割には長いけどね。
 とりあえず、第2弾、こんな感じでどーでしょ?